昨年3月11日の東日本大震災では、東北地方を中心に甚大な被害が発生し、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされていますが、そうした中でも民俗芸能は郷土への強い思いや復興を願う気持ちの象徴として行われ、人と人とをつなぐ大きな力を持っていることを、私たちに教えてくれました。
昭和34(1959)年以来行われている伝統ある大会が千葉県で開催されるのは11年ぶりのこと。国指定重要無形民俗文化財2件を含む7演目が披露されます。
日頃から、技の習得や次世代の担い手の育成が積み重ねられ、現代に受け継がれてきた古の舞を、公演順に4回シリーズで紹介します。
1 洲崎のミノコオドリ(館山市/国記録選択・千葉県指定無形民俗文化財)
毎年2月の初午(はつうま)と8月20~22日の洲崎神社例祭に奉納されます。
「みろく踊り」と「かしま踊り」の2つがあり、これらを総称して「ミノコオドリ」と呼んでいます。
踊り手は基本的には小学生から中学生までの少女たちが中心ですが、少子化の影響から、近年は成人の女性が一緒に踊ります。
中央には、オンドトリと呼ばれる小太鼓役1名と歌役2名が座り、その周りを踊り手たちが輪になって舞います。
みろく踊りでは、左手にオンベ(長柄の御幣(ごへい))を肩に担ぎ、右手に扇子を持ちます。
かしま踊りでは、扇子のみを使います。
いずれも海の安全を司る鹿島の神に関係し、「かしま踊り」は鹿島の神人(じにん)が一年の豊凶を告げ歩く事触(ことぶ)れに由来し、悪魔払いを目的としています。
一方「みろく踊り」は、世直しを願う念仏踊りの系譜にあり、弥勒(みろく)が遠い海の彼方から訪れ、富や豊作をもたらすという内容になっています。