小学校、中学校、高校、大学などに入学した新1年生や、新社会人の皆さんも、少しずつ新しい生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。
学校、職場の新1年生だけではなく、
在校生もクラス替えや担任の先生が変わったり、
職場では人事異動で、異動した人もしない人も、職場の環境が変化したりと、
我が国日本では、学生も社会人も、毎年4月に大きな変化を体験しています。
今日のブログでは、今年、中学校に入学した新1年生をはじめに、
13歳前後の、これからの日本を背負っていく世代に読んで欲しい本を紹介します。
芥川賞作家、村上龍さんの『13歳のハローワーク』です。
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幻冬舎刊 561P 2,730円 |
初版は平成15年に刊行され、127万部突破の大ベストセラーとなりました。
平成20年に改訂され、『新13歳のハローワーク』が発売されました。
旧版では興味の対象別に別れていた職業項目を、
新版では教科別に分類し直し、「国語が好き」「社会が好き」「理科が好き」「体育が好き」と、好きな教科の扉を開けると、胸がときめく職業図鑑が広がっています。
参考までに、『13歳のハローワーク』から、館山市の生涯学習に関係する仕事をピックアップしてみました。
【社会が好き・興味がある】
「遺跡発掘調査員」「公務員【一般行政職】」
【美術が好き・興味がある】
「美術修復家」「学芸員」
【保健・体育が好き・興味がある】
「フラメンコダンサー」
【道徳の時間、眠くならない】
「小学校教師/中学校・高校教師」
【休み時間、放課後、学校行事が好き・ほっとする】
「司書」
分類をするのは、何事でも大変難しい作業です。また、職業観は十人十色なのですが、
例えば、
【休み時間、放課後、学校行事が好き・ほっとする】人が「司書」?
【国語が好き・興味がある】人でもよいのではないか。とも思います。
しかし、医療、介護、環境などをテーマとした、今の時代に読んで欲しいエッセイや対談も掲載され、難読漢字に はルビがふられています。
中学生にとって、とても身近に感じられる本だと思います。
村上龍さんは、『新13歳のハローワーク』のなかで、こう述べています。
「わたしたちは職業によって社会とつながっていることを忘れないで下さい。,,,職業につき働くことで、わたしたちは充実感や達成感、それに友人や仲間を得て、集団や会社や組織に属することで、自分の居場所を確かめることができます。」
中学生のみならず、私たち親世代にも、ためになり、とてもおもしろい本です。
『新13歳のハローワーク』は、館山市図書館の蔵書のなかにもあります。
興味があるみなさんには、ご一読をお勧めします。
もう終了してしまいましたが、
『新13歳のハローワーク』を原作にしたドラマ「13歳のハローワーク」が、今年の1月13日から3月9日(全9話)まで、テレビ朝日の金曜ナイトドラマで放送されていました。
ストーリーは、
主人公・小暮鉄平(松岡昌宏)は警視庁捜査一課の刑事になることを夢見て警察官になった生活安全課所属の刑事。
今の職務に不満を抱く中、突如として1990年にタイムスリップした彼は、13歳の自分に出会い、人生をやり直すチャンスとして、13歳の鉄平を警視庁捜査一課の刑事へ導くべく暗躍を始める。
その中で、様々な仕事とそこで繰り広げられる人間模様に触れていく。
という内容でした
バブル世代の私には、90年代への懐かしさもあり、久しぶりに全話をみたドラマとなりました。
私事ですが、35歳の鉄平が13歳の鉄平に語る言葉の数々に心を打たれました。
その一部を紹介します。
「この挫折はな、きっとゴールにつながってんぞ。おまえが、あきらめない限りな。」
「失敗を繰り返せば、繰り返した分だけ、それがオレたちの教科書になるんだよ。」
高度成長期、バブル期に比べると、現代は本当に生きにくい時代だと思います。
100年に一度という世界的な不況が続くなか、将来への希望が見えず、不確実なことばかりで、不安が増すばかりです。
東大が秋入学を検討するなど、日本の大学を国際化しようという取り組みが相次いでいるなか、今の13歳が大学生になる頃には、ひょっとすると、日本社会で毎年4月に繰り返されてきた“1年の節目”が、9月に変わっているかもしれません。
村上龍さんが、「それでも、すべての子どもや若者は、生きのびていく必要があります。」と述べているように、社会が変化しても、子どもたちは、就職し、生活していく必要があります。
親世代として、中学生・高校生に、エールを贈りたいと思います。