38名が参加し、東京銀座の永井画廊で開催中の第3回青木繁「海の幸」オマージュ展と、ブリヂストン美術館のコレクション展「-色を見る、色を楽しむ。—ルドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』・・・」を鑑賞しました。
ブリヂストン美術館 |
ブリヂストン美術館の創設者・石橋正二郎氏のレリーフ |
ブリヂストン美術館では、館山市からの参加者のために、学芸課長の貝塚健氏から「青木繁と「海の幸」」について特別講義をしていただきました。
貝塚先生は、2011年の「没後100年 青木繁展-よみがえる神話と芸術」を担当され、その年の8月に南総文化ホールで講演をしていただきましたので、館山市民にとっては、大変馴染みのある方です。
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ブリヂストン美術館・貝塚健・学芸課長から、 青木繁と「海の幸」についての講義を受けました。 |
この講座は、明治時代の画家・青木繁(1882~1911)の代表作「海の幸」(重要文化財)が制作された館山市布良の市指定有形文化財(建造物)「小谷家住宅」の文化財保存運動を、広く知ってもらうことと、「入りづらい、敷居が高い」というイメージの銀座の画廊を身近に感じてもらい、芸術に接する機会とすることを目的としました。
“オマージュ”とは、フランス語で尊敬を意味し、第3回青木繁「海の幸」オマージュ展(平成25年7月19日~8月2日)は、第1回東京展(平成24年6月11日~6月16日)、第2回館山展(平成24年6月26日~9月2日)に続く開催となります。
銀座の永井画廊 |
NPO法人青木繁「海の幸」会(大村智理事長)が主催し、青木繁「海の幸」を顕彰し、「海の幸」が制作された小谷家住宅を当時の姿に復元し、保存する機運を盛り上げることが目的とされ、天才・青木繁に憧れた現代作家たちの力作が紹介されています。
館山市民鑑賞ツアーのために、特別にギャラリートークが開かれ、村田慶之輔氏(美術評論家・川崎市立岡本太郎美術館名誉館長)、入江観氏(洋画家・女子美術大学名誉教授)、吉武研司氏(洋画家・女子美術大学教授)の三氏に、テレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」でお馴染みの永井龍之介氏(永井画廊代表取締役)が加わり、青木繁「海の幸」に対する熱い思いを語られました。
左から、永井龍之介氏、村田慶之輔氏、入江観氏、吉武研司氏 |
第3回青木繁「海の幸」オマージュ展の共催者でもある永井龍之介氏は、青木繁の「梅野一(うめのはじめ)像」を特別出品し、「青木の作品が現代の私達を見ている。「海の幸」が描かれた小谷家を保存していくことは、私達の心の故郷を守ることに他ならない。」と語り、入江観氏は、「青木の作品と同じ展覧会に出品することが、現代の画家の背筋を伸ばさせた。青木が本音で一生を生きたことが、青木の絵から聞こえてくる。」と述べました。
青木繁の「梅野一像」を鑑賞する参加者のみなさん |
また、吉武研司氏の「「海の幸」に鮫が描かれているが、布良の人たちから、漁師が鮫を持ち帰ることはないことと、銛の持ち方が反対だと聞いたが、そこが絵の面白いところ。絵の持つフィクションにどのように虚構をつけ、人に訴えるのか。そこから名画が生まれる。」との発言に対し、布良から参加した青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会の会員が、布良の景色・漁業・漁師の実際と描かれた「海の幸」の違いについて持論を展開し、会場はおおいに盛り上がりました。
海の幸(石橋財団石橋美術館蔵) |
最後に、村田慶之輔氏が「よい絵は人に訴えかけてくる。小谷家で渦巻いた情熱を残したい。文化財保存運動を進めていくので、館山の皆さんと力を合わせて実現したい。」とまとめ、ギャラリートークが終了しました。
ギャラリートークの先生方と参加者の記念写真 |
オマージュ展は、8月2日(金)まで永井画廊で催された後、8月6日(火)から11日(日)まで、京都市のギャラリーヒルゲートに巡回し、第4回青木繁「海の幸」オマージュ展として開催されます。