気づけば3月ももう終盤ですね。今年は春一番が吹かなかったり、ぱっとしない天気が続いたりと、どうにも春らしい気候に恵まれていませんが、空気の暖かさの中には春を感じることができます。
さて、去る3月18日(日)、博物館歴史教室「わたしの町の歴史探訪―やぐらを巡る―」を開催いたしました。
…記事の掲載が大分遅くなってしまった事を、まずお詫びいたします…orz
では気をとりなおして…
当日は小雨のパラつくあいにくの天候ながら、70名もの方々がご参加下さいました!
年齢層も上は80歳以上の方から、下は幼稚園の女の子まで、幅広い年代のご参加を得ることができました。
年齢層も上は80歳以上の方から、下は幼稚園の女の子まで、幅広い年代のご参加を得ることができました。
あいにくの雨模様・・・ |
今回は、博物館分館で開催中の特別企画展「中世の安房と鎌倉-海で結ばれた信仰の道-」の関連事業ということで、展示で取り上げた館山市九重地区安東・水岡にある「やぐら」を中心とした史跡を巡りました。
余談ですが、参加者の中に神奈川県逗子市の教育委員会の方もいらっしゃって、展示会を通じての交流を感じることができました。
余談ですが、参加者の中に神奈川県逗子市の教育委員会の方もいらっしゃって、展示会を通じての交流を感じることができました。
「やぐら」とは、鎌倉を中心とした地域に集中的につくられた、中世の武士・僧侶階級の納骨・供養施設です。東京湾をはさんだ房総半島南部にも数多く分布しており、なかでも富津市、南房総市の旧丸山町・富浦町・三芳村、そして館山市の九重地区に密集してつくられています。
中はどうなっているのかな? |
今回見学したやぐらのうち「千手院やぐら」は、やぐらそのものが墳墓堂(ふんぼどう・お墓そのものを本尊として、屋根のある建物で覆ったもの)としての機能を果たしています。奥の壇上には、文和3(1354)年銘の本尊・石造千手観音坐像と、文和2(1353)年銘の石造地蔵菩薩坐像、さらに周囲には中世の日待供養塔(ひまちくようとう)、五輪塔の断石などがあります。
千手院やぐら入り口 |
ご本尊は只今出張中です^^ |
このやぐらのちょうど真上には南北朝時代(1336~1343年頃)の作と思われる本格的な宝篋印塔(ほうきょういんとう・お経を納める供養塔。鎌倉中期頃から造られた)が完全な形で立っています。この宝篋印塔と、やぐら内にある石造地蔵菩薩坐像は、館山市の指定文化財です。
なお、地蔵菩薩坐像は、石造千手観音坐像とともに、現在館山市立博物館分館にて展示中です。
なお、地蔵菩薩坐像は、石造千手観音坐像とともに、現在館山市立博物館分館にて展示中です。
宝篋印塔 |
やぐらのちょうど真上です。 |
水岡やぐら内部 |
浮き彫りがはっきりと残っています。 |
こちらのやぐらも館山市の指定文化財で、館山市立博物館本館の歴史展示室に、復元模型が常設展示されています。
その他、内田やぐら、蓮蔵寺、紫雲寺、片岡の地蔵堂、安東郷鴻ヶ巣村など、約5kmの行程を、説明を交えながらじっくりと巡りました。
真剣に説明を聞いている皆さん。 |
「やぐら」は山腹に作られているものが多く、また悪天候のため、急斜面やぬかるみなど、足元の悪いところも多々ありましたが、何事もなく無事に終えることができました。
足元ご注意!! |
参加された方には、水岡在住の方も多く「自分の住んでいる地域に、こんなに立派なものがあるなんて知らなかった。もっと色々調べてみたい」という声も聞かれました。
今回の歴史探訪を機に、たくさんの方が地元の歴史に興味をもっていただけるとありがたいです。
今回の歴史探訪を機に、たくさんの方が地元の歴史に興味をもっていただけるとありがたいです。
ご参加くださった皆様、本当にお疲れ様でした!