2012年2月26日

「親子で学ぼう じしんつなみ ~見て・聞いて・知ってみよう~ 」-旭市飯岡地区で津波の恐ろしさを学びました。

昨年3月11日の東日本大震災から、間もなく1年。

2月25日(土)、
津波による大きな被害があった旭市飯岡地区を実際に「見て」、
実際に被害にあわれた現地の方からお話しを「聞いて」、
千葉科学大学の先生から地震と津波について解説してもらい「知って」、
これからの自分のこと、家族のこと、地域のことを考えてもらうことを目的に、
「親子で学ぼう じしんつなみ ~見て・聞いて・知ってみよう~」を開催しました。

市内の小学4年生以上とその保護者26名が参加。

午前7時に館山を出発したバスは、午前10時に「いいおかユートピアセンター」に到着しました。

最初に、旭市企画政策課長米本壽一さんのお話しをお聞きしました。


旭市企画政策課長の米本壽一さん

平成23年3月11日(金)午後2時46分、突然東日本を襲った大地震。

旭市では、震度5強を観測しました。

その後におこった大津波は、旭市に死者13人、行方不明者2人、住宅被害は3,529世帯にも及ぶ、大きな被害をもたらしました。

旭市は、5年間の復興計画を策定し、そのなかで津波対策を重点施策に掲げています。


飯岡小学校に掲げられた横断幕

すでに海岸では、消波ブロックの復旧工事や保安林の植え替え作業が始まっています。

いいおかユートピアセンターでは、東日本大震災から1年となる3月11日(日)、
千葉県と旭市が共催で「東日本大震災一周年追悼式」を催し、政府主催追悼式の中継や一般参列者の献花などが行われます。

 続いて、

旭市復興計画検討委員会の委員長でもある千葉科学大学危機管理学部教授船倉武夫先生と、旭津波被災者支援センター代表・コーディネーター平塚四郎先生のお話しを聞きました。

千葉科学大危機管理学部教授の船倉武夫先生

旭津波被災者支援センター代表・コーディネーターの平塚四郎先生

あいにくの強い雨のなか、船倉先生に案内していただき、

平成23年3月11日に数十m手前まで津波が引き寄せ、震災当時は避難所となり約1,000名が避難した旭市立飯岡小学校の周辺を実地見学しました。


説明をする船倉先生

堤防から飯岡小学校までの距離は、わずか約250m。

最初に確認できた標高を表す表示は約2.7m。




標高約2.7mの地点

約50m歩くと、標高は約4.3mと約1.6m高くなりました。


標高約4.3mの地点

約100m歩き、飯岡小学校の入口にくると、標高は約6.7m。

さらに約2.3m高くなっています。

船倉先生は語られました。

「まちの高低差が、どのくらいあるのかを感じることが大切です。」


飯岡小学校の入口

海岸方向を見るとゆるやかに高くなっていることがわかります。

 平成23年3月11日 午後2時46分頃大地震が発生。

飯岡小学校では、

すでに午後2時40分に1年生が下校。
2年生は下校指導中。
3~6年生は大掃除をしていました。


旭市立飯岡小学校

午後2時49分頃、津波警報が発令されると、児童・担任は校舎3階へ避難。
津波警報の発令後、避難者が徐々に来校してきました。


午後3時14分頃、大津波警報が発令され、午後3時24分頃、旭市の避難勧告が出されると、避難者が増加し、職員による誘導が行われました。


飯岡小学校の非常階段


午後3時50分頃、飯岡に大津波が到達。
避難者から、低い地域で堤防から津波があふれ、浸水したとの情報が入りました。

午後5時20分頃、大津波の第2波が到達。
校門の数十m手前まで浸水し、この時の校内への避難者は約1,000名でした。

矢指川入り口の砂丘には高さ7.6mまで、津波が到達した痕跡が見つかったといいます。

現地見学をして確認できたことは、津波の警報や注意報の発令中は、

・ 絶対に海や川に近づかないこと。
・ 少しでも高い場所に非難すること。

です。


続いて、旭市飯岡保健福祉センターで、「津波写真展」を見学。


写真展を見学する参加者
堤防を乗り越える大津波の第一波

飯岡刑部岬展望館から見る飯岡港
左にある堤防を大津波は乗り越えてきました。
飯岡港の船溜りを襲う大津波の第一波
飯岡刑部岬展望館から見る船溜まり


写真展の見学後、隣接地にある仮設住宅を見学させていただきました。



説明をされる仲條富夫さん


説明をして下さったのが、被災をされ、未だ仮設住宅での生活を余儀なくされている仲條富夫さんです。

被災者だからこその生の声を聞かせていただきました。

また、お住まいの方の特別のご好意により仮設住宅の中を見学することができました。


3Kの間取りの仮設住宅の中も見学させていただきました
写真提供/千葉県観光物産協会



九十九里海岸を一望できる飯岡刑部岬展望館から、飯岡地区の様子を確認した後、

銚子市塩見町にある千葉科学大学へ。


昼食後、3班にわかれ、「いいおか津波 語り継ぐ会」のみなさんから、3月11日とその後の体験のお話を聞かせていただきました。

みなさんのお話しからわかったことは次のとおりです。


・東日本大震災で旭市を襲った津波では、地震から約2時間半後の波が最大だった可能性があること。

・これより前に津波は2度押し寄せ、2度目はそれほど大きくなかったため、住民が安心して家や海の様子を見に戻ったこと。

・2度目の小さな津波から約1時間後の午後5時20分頃、最大の大津波が堤防を大きく越え、まちをのみ込んだこと。


「まさか、一番大きいのが2時間以上も過ぎてくるとは」との恐怖の証言が、印象に残りました。


「いいおか津波 語り継ぐ会」のメンバーから話を聞く参加者

● 「いいおか津波 語り継ぐ会」の講話1



● 「いいおか津波 語り継ぐ会」の講話2




次に、千葉科学大学危機管理学部教授船倉武夫先生「いいおか津波を学ぼう」の講義です。

飯岡を襲った津波はどこの水か?
飯岡で最も高かった津波の高さはどれだけか?
地震速報のキャラクターは誰かな?

などのお話しを聞きました。

千葉科学大学危機管理学部教授の船倉武夫先生の講義





避難するときのオモテナシ

講義の終了後、「いいおか津波を学ぼう防災教室」の校長でもある平岡四郎先生から、参加者全員が修了証書をいただきました。


修了証書を受け取る小学生

最後に、
わが国で唯一の危機管理学部がある、千葉科学大学学生消防隊により、
消防服の着用と消防車の乗車を、体験させていただきました。


千葉科学大学危機管理学部の学生消防隊
消防服の着用体験
消防車の乗車体験


「親子で学ぼう じしんつなみ ~見て・聞いて・知ってみよう~ 」の開催にあたり、

講師の先生方をはじめ、皆様方にご指導とご協力をいただきました。
ありがとうございました。

千葉科学大学、社団法人千葉県観光物産協会
光と風キャンペーン実行委員会、いいおか津波 語り継ぐ会、旭市


津波の恐ろしさ。

災害がおきた時の自分のこと、家族のこと、地域のことを考える、またとない機会となりました。


なお、「親子で学ぼう じしんつなみ ~見て・聞いて・知ってみよう~ 」の様子は、

3月11日(日) 午後7時から午後7時55分に放送される、
チバテレ報道特番『被災地・千葉の1年』のなかで、紹介される予定です。



取材をするチバテレのクルー