神奈川県立歴史博物館
神奈川県立金沢文庫
鎌倉国宝館
による3館連携特別展が開催されています。
最初に開幕した、神奈川県立歴史博物館会場の「再発見!鎌倉の中世」を見学しましたので、紹介します。
神奈川県立歴史博物館の建物は、戦前の国策為替銀行である 旧横浜正金銀行本店(明治37(1904)年建設)をそのまま用い、 国の重要文化財(建造物)と国史跡の指定を受けています。 |
鎌倉と安房のつながり
治承4(1180)年8月、伊豆国に流されていた源頼朝は、平家打倒を促す以仁王(もちひとおう)の令旨(りょうじ)により挙兵しますが、石橋山の戦いで敗れ、安房国に落ち延びました。
しかし、安房国の豪族安西氏などに迎えられ再挙し、房総半島を北上。武蔵国に入ります。
この過程で、東国武士が続々と参集しました。
同年10月、頼朝は鎌倉に入り、直後の富士川の戦いで平家を破り、東国を制しました。
翌年の養和元(1181)年5月23日、源頼朝は長女大姫の住まいなどを建てるため、安房国の役人に、職人を動員することを命じました。
そして4日後の27日には、安房国の大工が鎌倉に参上し、翌日には棟上げが行われています。
このことが端的に示すように、安房は「内海」とも呼ばれていた現在の東京湾をはさみ、政治の中心地鎌倉に接していたため、大きな影響を受け、歴史が展開していきます。
安房と鎌倉の交流を、現代の私達に教えてくれるのが、やぐら・仏像・密教法具などの仏教文化です。
館山市安東の千手院やぐらや、同水岡の水岡やぐらなど、やぐらが密集する地域は鎌倉の密集地域と重なっています。
千手院やぐら |
館山市指定史跡「水岡やぐら」 |
神奈川県立歴史博物館会場「再発見!鎌倉の中世」
世界遺産登録を目指す鎌倉の地に遺された貴重な文物について、出土品、古文書、古絵図等を中心に、資料が展示されています。
このうち、県立歴史博物館所蔵、保管資料の中には鎌倉研究にかかわった赤星直忠、八幡義生両氏の鎌倉関連出土遺物コレクション(初公開)等があり、鎌倉研究初期における研究成果を知る上でも貴重なものです。
展示の導入部には、やぐらをイメージした展示が行われていました。 画像を明るくしていますが、 実際は、やぐらの中のように暗いです。 |
安房の出土遺物を代表して展示されているのが、館山市萱野遺跡から出土した三鱗(みつうろこ)文瓦です。
三鱗文瓦(館山市萱野遺跡出土) 鎌倉時代 13世紀 館山市立博物館蔵 |
この瓦は、現在の安房地域医療センターの建設に先立つ発掘調査に伴い、平成8年に出土しました。
平瓦の凸面に、北条氏の家紋である三鱗文をあしらった叩き文様があることから、萱野遺跡周辺に寺院があったことが推測できます。
北条氏の家紋・三鱗文のある瓦は、鎌倉でも鶴岡八幡宮、建長寺、極楽寺など、鎌倉幕府や北条氏に関係する社寺からしか出土していません。
萱野遺跡の東、千手院やぐらや水岡やぐらがある安東郷(現在の館山市安東・水岡周辺)に、律宗の極楽寺領があったことから、北条得宗家と結びついた律宗寺院の存在が考えられます。
このほか、世界遺産登録推進 三館連携特別展「武家の古都・鎌倉」 神奈川県立金沢文庫会場の「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」で、
最近発見され、重要文化財級と話題になった「宋版・孫真人玉函方」と、
「宋版・孫真人玉函方」 (中国)南宋~元時代 館山市立博物館蔵 |
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小網寺の密教法具が、館山から出品されています。
千葉県指定有形文化財(工芸品)「小網寺鋳造密教法具」 鎌倉時代 小網寺蔵 |
文化の秋!
神奈川県立歴史博物館、神奈川県立金沢文庫、鎌倉国宝館による
3館連携特別展「武家の古都・鎌倉」を見学してみませんか。
「武家の古都・鎌倉」世界遺産登録推進 特別展
◆ 神奈川県立歴史博物館会場 「再発見!鎌倉の中世」
平成24年10月6日(土)~12月2日(日)
◆ 神奈川県立金沢文庫会場 「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」
平成24年10月13日(土)~12月2日(日)
◆ 鎌倉国宝館会場 「古都鎌倉と武家文化」
平成24年10月20日(土)~12月2日(日)