2012年10月11日

第54回関東ブロック民俗芸能大会 演目の紹介(その2)

根知山寺の延年(新潟県糸魚川市/国指定重要無形民俗文化財)

 延年(えんねん)とは、奈良や京都の寺院で法会(ほうえ)の後に行われた余興の歌舞遊宴の芸能のことをいいます。

根知(ねち)山寺(やまでら)の延年は、神仏習合(しんぶつしゅうごう)を色濃く残す新潟県内唯一の延年芸能で、地元では「山寺のおててこ舞」と呼ばれ親しまれています。

根地谷地区の山寺集落は、上杉謙信が敵将武田信玄に塩を贈った逸話で知られる塩の道・松本街道沿いにあり、毎年9月1日の日吉神社の祭礼で、風流(ふりゅう)(初期の歌舞伎踊)と稚児(ちご)舞楽(ぶがく)を中心に神楽、万才(まんざい)、獅子舞などが加えられた計10曲が奉納されます。




舞の由来や起源は明らかではありませんが、歌詞の中に室町小歌に見られるような言葉や使い方があることから、京都の流れを汲み、500年程前から伝わるものと考えられています。

当日披露される「獅子舞」は、延年の最後を締めくくる舞です。こっけいなしぐさで、人を笑わせるからみ役の「才蔵(さいぞう)」と獅子のからみあいが見所です。


 


雨宮の神事芸能(長野県千曲市/国重要無形民俗文化財)
雨宮(あまみや)坐(にいます)日吉神社祭礼の行列一行の芸能。4月29日の祭日に3年に一度行われ、次回は平成26年に奉納されます。

行列は、先頭に天狗面をつけ高足駄をはく御行司(おんぎょうじ)、次いで社宮神(しゃぐうじん)、左大臣、相丞神(そうじょうじん)、いずれも鬼面をつける神六神、鍬を持つ御鍬(おんくわ)、子供が女装し花笠をかぶる中踊(なかおどり)、花笠をかぶり胸に小太鼓をつける児踊(ちごおどり)、獅子、太鼓、囃子(はやし)方の一行で構成されます。




大会当日披露される「朝踊り」は、本殿前で最初に踊るもので、御行司の前で児踊・中踊・御鍬、それを囲む神六神・獅子が、太鼓・笛・太鼓に合わせて、思い思いの所作で舞います。




神々の古風な所作や、豪快な獅子舞などが見所です。

獅子頭は、四角の箱様の台に白紙の垂れを多数付けた珍しい形の頭で、祭礼の最後に行われる「橋懸(はしがか)り」の前に「化粧落とし」と称して、観衆が我先さきにと獅子の髪(紙)を剥ぎ取り、御利益があると持ち帰ります。



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