2012年10月12日

第54回関東ブロック民俗芸能大会 演目の紹介(その3)

美和神社の太々神楽(山梨県笛吹市/県指定無形民俗文化財)

美和(みわ)神社は、甲斐国二ノ宮にあたる古社で甲府盆地東部の笛吹(ふえふき)市御坂(みさか)町二之宮地区に鎮座しています。

美和神社太々(だいだい)神楽の起源は、江戸時代の元禄年間(1688~1703)といわれています。

神楽は、神霊の鎮魂のために奏され演じられてきましたが、美和神社では天明の大飢饉、疫病の流行など大災害に対する祓(はら)いを目的とする奉納が、しきりに行われた記録があります。




現在は、2月8日の湯立(ゆだて)祭と4月初旬の例祭において、美和神社境内の神楽殿などで奉納されています。




演目は、斉場清浄の舞、建国の舞、四柱の舞、天下りの舞、四弓の舞、合舞、剣打の舞、保存神の舞、国(くに)向(むけ)の舞、魚釣の舞、剣の舞、四剣の舞、宝環の舞、種下の舞、大蛇の舞、悪病除の舞、幸(さち)替(がえ)の舞、天岩戸の舞、終止の舞の20舞が現存しています。

今回は、大国主命(おおくにぬしのみこと)の「国譲り」の神話を描いた「国向(くにむけ)の舞」が披露されます。


葛西の里神楽(東京都江戸川区/都指定無形民俗文化財)

里神楽は埼玉県久喜市の鷲宮神社に伝わる土師(はじ)一流(いちりゅう)催馬楽(さいばら)神楽から分かれ、延宝年間(1673~1681)以降に江戸や近郊に広まったとされています。

大太鼓・大拍子・笛・鉦などに合わせ、面をつけた神楽師が神話を題材にした物語などを演じます。



里神楽は大別して江戸流と相模流に分類され、葛西神楽は江戸流に属します。

この神楽がいつ頃から葛西に広まったか定かではありませんが、東葛西領(現在の江戸川区)において中心となって活躍したのは、西小松川村の神職・秋元家です。

明治時代に同村の大西角次郎が里神楽の伝承を引き継ぎ、その後も子や弟子によって継承され、昭和36年(1961)に東都葛西神楽保存会が結成されました。




現在、江東区の亀戸天神社、江戸川区篠崎浅間神社、同区一之江名主屋敷の椿文化財まつりで演じられています。




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