2013年7月28日

「身近な神さま仏さま」第1回解説会が開催されました

7月27日(土)、市立博物館で開催中の収蔵資料展
「身近な神さま仏さま-祈りの図像学-」の第1回解説会が行われました。

 解説会とは、無料で行われる展示の説明会です(入館料は必要になります)。
 特に今回の収蔵資料展のテーマは「図像学」ということで、作品のポイントを押さえながら見ることにより、一層展示を楽しむことができます。
 

 
 
沢山の方々にご参加いただきました。
 
1、神さま仏さまの姿
 
 お釈迦様が亡くなる瞬間を描いた「涅槃図(ねはんず)」や、西遊記で有名な玄奘三蔵も描かれている「大般若十六善神図(だいはんにゃじゅうろくぜんじんず)」などを展示しているコーナーです。
 そんな中でも今回一番注目を集めていたのは「神農図(しんのうず)」。古代中国の伝説に登場する神様で、医薬と農業を司っています。
 この神様は毒か食用可能かわからない物を片っ端から食べて確かめるという、体を張った神様です。「私が食べた後に内臓のどこかが黒くなっていたら、それは毒ということだ。そして黒くなった部分がその毒に影響される部分だ」と言っていたそうですが、どうやって内臓の色を確かめたと思いますか?
 なんとこの神様、体のほとんどの部分が透明だったそうです。
 
 こんなお話が聞けるのも、解説会の楽しみですね。
 
 
 
2、神さま仏さまの周辺

 中国の想像上の獣、猩猩(しょうじょう)が描かれた「万祝(まいわい) 」や、おめでたい生き物として様々な場面に登場する鳳凰(ほうおう)と麒麟(きりん)を描いた「型紙 」などが展示されているコーナーです。

「八犬伝の中で、里見義実は落ち延びる最中に龍を見ます。
龍は吉祥の神。義実の今後を暗示しています」


「麒麟にもオスメスがあります」

 ここで特に注目を集めていたのは、猩猩の描かれた万祝です。可愛らしい猿のような生き物が、頬をほんのりピンク色に染めています。しかし、これは照れているのではなく酔っぱらっているのだそうです。
 猩猩はオラウータンがモデルとされる想像上の生き物で、お酒が大好きだとされています。「酒を置いておけば猩猩がとれる」といった捕獲のHOW TO本も出ていたそうです。最近は猛暑が続いていますので、一緒に暑気払いをしたらとても楽しいと思います。
 この万祝は袖と裾の部分が朱色になっています。この色は「猩猩緋(しょうじょうひ)」と言われ、伝説では猩猩の血で染めた色だとされているそうです。その不思議な色を、ぜひ展示室でご確認ください。



3、七福神大集合!

 身近な信仰対象といえばやはり七福神。ここではその中でもツートップでセンターを張っている恵比寿と大黒を中心にしています。七福神の中でも抜群の知名度を誇る恵比寿と大黒は別格ですが、現在の固定メンバーになるまでは何度か入れ替えがあったそうです。
 ここで注目を集めていたのは置物彫刻で、後藤義光作の「布袋像」と、その弟子後藤忠明作の「布袋像」。どちらも太鼓腹でにこにこ笑っている楽しそうな像で、見ているこちらも笑顔になってしまいます。
 布袋は右脇にトレードマークの大きな袋、右手に軍配を持っているのが特徴で、七福神の中では唯一の実在人物です。布の袋をかついで放浪し、貰ったものはなんでも袋に詰め込んでいたことから「布袋」という名前がつきました。子供が大好きで、後藤義光作の「布袋像」は子供と戯れています。その愛らしい笑顔は必見です!



 今回、記事内で紹介した話は解説のほんの一部になります。
 お子様の夏休みの宿題から、もっと不思議な話を聞きたい!という方まで、次回の解説会へのご参加をお待ちしております!




第2回展示解説会

開催日時 8月24日(土) 13:30~14:30
 会場   館山市立博物館本館  企画展示室
 解説員  担当学芸員