当館の学芸員がもちまわりで講師をつとめます。
第一回目は「錦絵にみる歌舞伎と八犬伝」。
貸本で評判を呼んだ八犬伝は、連載中から歌舞伎や浄瑠璃など舞台で上演されました。さらに、歌舞伎の場面や役者絵が、錦絵として販売され、原作を読んでいない人々にも広く知られるようになりました。
錦絵は、ただ場面を描いてあるだけではなく、描かれた人物名・絵師の名前・彫師(版画のもととなる版木を彫る職人)の名前・版元(出版元)の名前・演じた役者の名前などなど、非常に沢山の情報も描きこまれています。
当館蔵「八犬伝犬の草紙の内 里見息女伏姫」 役者は初代坂東しうか(1813-1855)です。 |
八犬伝は、派手な立ち回りなど見栄えのする場面が多く、そうしたところも歌舞伎の題材として好まれた理由かもしれません。
嘉永5(1852)年正月市村座で上演された舞台「里見八犬伝」を描いた錦絵。 (歌川国芳画) 犬塚信乃と犬飼現八が芳流閣で対決する場面で、 八犬伝を代表する場面といえます。 |
講座内では、読み本の朗読も行われたのですが、テンポや語呂・語感がよく、江戸っ子たちに人気であったのも分かるような気がします。
講座の最後には、当館所蔵の八犬伝の錦絵の実物を間近で鑑賞しました。100年以上前に摺られたとは思えないほど鮮やかな色彩に、皆さんとても感心していました。
当館蔵「八犬伝犬の草紙の内 犬塚信乃」 役者は皆様ご存知市川団十郎(8代目)です。 |
八犬伝は、今現在でも歌舞伎や舞台、果てはゲームや漫画・アニメなどのモチーフとして大人気です。面白いものは、時代を問わず人々の心を掴むことができるのかもしれませんね。
第二回ピックアップ八犬伝のテーマは「挿絵に見る仏教思想の影響」、8月25日(日)開講です。
※講座参加の募集は締め切りました。