安房学講座は、館山市文化財保護協会と館山市立博物館で組織された安房学講座実行委員会が開催する講座です。
今回のテーマは
「安房地方の民俗を捉えなおす 生活改善諸活動と財産区を題材に」
講師の小島孝夫先生(成城大学文芸学部教授) |
沢山の方のご参加ありがとうございました |
今回は「生活改善諸活動」と「財産区」を中心に話が進んでいきました。
生活改善諸活動とは
その名の通り、国民の生活を改善していくために国や市民団体が中心になって行った活動のことです。その目的としては「農村のお嫁さんの解放」が大きかったとされます。
今回取り上げられた具体例は昭和の半ば頃のものが中心でした。一部例をあげますと、
・それまでのいろりから煙が外へ排出される「かまど」にすることで、生活環境を変え家事負担を軽減させる改良かまどの作り方指導。その後、現在のようなガスや電気の台所に変化していきました。
・青年会の会長の家などでは女性が参加しにくいので、もっと集まりやすい公民館とその活動の普及。また、家庭の状況で結婚式に差がつかないようにとの配慮から公民館結婚式も行われました。
現在も公民館では様々な諸活動が行われていますが、趣味の場としてだけではなく社会的な役割も担ってきたことがわかります。
・ハエや蚊の駆除などの衛生面の生活環境改善も、保健所や各自治体を通して衛生委員を中心に行われるようになりました。常に地域を綺麗に保つことで、生活が改善されたのです。
これらの生活改善諸活動によって日々の生活は少しずつ変化していき、現在にいたります。 これらは「官(政府)」と「民(市民・国民)」の連携によって行われてきました。ただの一方的な啓蒙活動ではなく、生活をよりよくするために時にぶつかり、時に協力してきたのです。
財産区とは
財産、といっても金銀財宝が眠っているというわけではではありません。江戸時代の村が所有していた土地を、合併の際に新市町村に引き継がず、旧市町村で管理、処分するために設置される組織のことです。区域内に住所を持つ住民全てがその構成員になります。
つまり、皆で共有して使っていたものはそのままにしておきましょう、ということです。
しかし、江戸時代に直接その土地を使っていた人達が管理していたのとは違い、合併などにより実際に使用する人と管理する人が離れていき、荒れ地になってしまうケースも少なくないそうです。
今回取り上げられたお話は「仁我浦共有団体」の活動でした。
明治22年の合併時に和田町有林となった旧仁我浦村の共有林を53戸で9か年賦(分割払)で買い戻し、昭和12年に完済。現在も規定の改定をしながら53戸で管理しています。
通常、観光資源というと何か新しいものを建設したりすることが多いですが、この地域では元々あったものを大切にし、生活保全を行ってこそ意味があると考えたのです。
今回の講演を聞くまでは、民俗といえば「昔」というイメージでしたが、今の延長線上にある「繋がり」なのだとわかりました。
その繋がりがこれからもより良い形で続いていくように、努力しなければならないと思います。
次回の安房学講座は、
8月3日
「千五百羅漢と桜井石工 大野甚五郎」
講師は稲木章宏先生です。
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