館山市有形民俗文化財「寺赤組山車」 |
地元の大工棟梁によって,明治32(1899)年につくられたものと考えられています。
彫刻は初代後藤義光の山車彫刻の遣作と考えられ,「元北朝夷 後藤利兵衛 橘義光作 八十五翁」などの銘があります。
「元北朝夷 後藤利兵衛 橘義光作 八十五翁」の銘 |
建武中興の故事にそった後醍醐天皇と,忠臣たちの名場面をテーマにした35名以上の人物像は,その持ち物や表情が,はっきりと彫刻されています。
彫刻,大幕,そして人形など,『太平記』をテーマに,山車全体の構成が統一されています。
また,人形を上げ下げする装置には,滑車が多く使われ,操り綱を使った古来の手法が残されています。
この、館山市有形民俗文化財「寺赤組山車」の古写真を、寺赤町内役員の中田さんから、お借りしましたので、ご紹介します。
撮影は、山車が完成した明治32(1899)年あるいはその翌年ではないかということです。
現在は、山車の正面にある太鼓が、左側面に据えられていることがわかります。
山車の左後方に写っているのは、那古寺の仁王門です。
この仁王門は、大正12(1923)年の関東大震災で倒壊しました。
現在の仁王門は、38年後の昭和36(1961)年に再建されたものです。
写っている人びとの服装を含めて、1枚の古写真が、様々な情報を私たちに教えてくれます。
日ごろ、私たちが何気なく撮っているデジタル画像が、22世紀の子孫たちに、色々な情報を教えることになるかもしれません。
あと、ひと月余りで、館山市民待望の“祭りの季節”が到来します!