館山市では『家庭教育』の重要性を踏まえ、昭和39年から家庭教育の支援に取り組んでおり、市内の公立幼稚園(こども園含む)、小学校ごとに家庭教育学級を開設し、家庭教育の支援を行っています(9幼稚園&10小学校)。
この家庭教育学級は、子育てをしている親同士が気軽に語り合う場や学びの輪づくりを目指し、子どもたちを取り巻く状況の把握や望ましい家庭教育のあり方を学ぶことを目的に学級長、副学級長(保護者の皆さん)を中心に学習会の企画、運営を行っています。
この家庭教育事業の一つとして、年に1回、家庭教育講演会を開催していますが、今年は『防災』をテーマとし、館山市男女共同参画会議(コーラル会議)との共催事業として開催しました!
今回の講演会には、家庭教育学級生(幼稚園児、小学生の保護者)、コーラル会議の皆さん、一般の方など合計117名のご参加をいただきました。ありがとうございました。
◆アウトドア流防災ファシリテーターの「あんどうりす」さん
阪神淡路大震災での被災体験を機にアウトドアの世界へ。アウトドアの知識や技術を生かした防災・防寒コーディネーターとして全国で講演活動を展開されています。現在、進行中の子育て体験に基づく実践的な内容が好評です。
主な著書に「自然災害最新サバイバルBOOK」、「震災を生き延びる100の知恵」、「小さないのちを守るままのためのナチュラル防災講座」などがあります。
今回の講演では、アウトドアの知識&技術を生かした防災術やグッズの紹介、古武術の考え方を活用した防災術などを紹介していただきました。
講師の「あんどうりす」さんです! |
「私はキャンプやロッククライミングなどのアウトドアライフが趣味なんです。アウトドアというとキャンプ場に行ってバーベキューを楽しむ人たちみたいな印象がありますが、本来は周りにあるものだけ、最低限のもので生活すること。これは、災害が起こった時にも通じるものがあるんです。」と自己紹介。
また、「災害時に行政や消防などの助けを待つより、近所の方など周囲の人が重要で普段からコミュニケーションをとっておくことが大切です。普段からコミュニケーションをとるように心掛けましょう。」とのことから、参加者同士で自己紹介をしました。
参加者同士で自己紹介。自分を花にたとえて見ましょう。 |
いろいろ便利グッズも販売されていますが、仕組みを知りましょう! |
リュックサックは胸、腰の部分にベルトがついているものがお奨めです。体に密着させることで重心が安定し、重さを均等にすることが出来ます。
①携帯電話(手回し充電器もセット)
緊急地震速報の受診(誤報も抜き打ち避難訓練の気持ちで)、各種アプリケーションソフトの活用、ウェザーニュース、災害用伝言ダイヤルの活用
②ホイッスル(玉の入っていないもの)
閉じ込められたとき、暗い場所などで位置を知らせるのに効果的。玉の入っているものは濡れると音が出ないので玉の入っていないものを選びましょう。
③LEDヘッドランプ
子どもの耳掃除などで普段から使えます。遊び間感覚で普段から使っていると電池の消耗なども把握できます。LEDタイプだと軽くて電池も長持ちします。
④マルチツール
はさみ、ナイフ、ドライバーなどがコンパクトに収められているものです。普段から便利に使用できます。使い慣れておくことが大切です。
⑤知恵がある自分・・・一番役に立ちます。
断熱オムツ換えシートは雪の上でもオムツ交換が可能。折り紙の知識でコップを作ることができます。応急手当は災害時以外でも役に立ちます。などなど便利グッズがない状況でも知恵と工夫で周囲にあるものを使って代用することができるんです。マニュアルに頼らず、柔軟な頭で臨機応変に行動できる自分でいましょう。
「オムツも自分で作ることができます」
市販されている紙おむつは外側が防水、内側が吸水という構造。外側にビニールを内側にタオルなどをあてればオムツを作ることができます。
「防寒・暑さ対策は”水”・”風”・”空気”の仕組みを知ること」
”NASA開発の防寒シート”と言われただけでこれさえあれば大丈夫というイメージがあるが、大事なことは『保温の仕組み』。じっとしている時には有効だが、寝るとき以外じっとしていることは少ないんです。特に子どもはじっとしていられないですよね。寒い時には普段から温かい服装でいること、また、その仕組みを知っていることが重要なんです。
寒いときには風(風速1mで体感温度は1度下がる)、水(水中では25倍の速さで体温が奪われる。気化熱による冷却もあります。)を防ぎ、空気をためることが重要。暑い時にはその逆を。
ダウンジャケットは体温で羽毛を膨らませ、羽毛により温かい空気がためられ温かくなるもの。なるべく肌の近くになるように着込むと効果的。肌着(ウール、ヒートテック)+ダウンジャケット+風を通さない上着の3枚で十分暖かいですよ。
テレビや雑誌、行政などから『非常時のために〇〇〇を用意しておきましょう』と紹介されるものも大事だと思いますが、いざという時に使えるか、その道具がどういう仕組みなのか、正しい使い方が分かるか、たくさんの荷物を持って移動することができるのかなど実践的なお話を聞くことができました。
また、講演の後半は会場を移動して”古武術”を活用した身体介助の方法を伺いました。ここでも大事なことは”重心”。同じ重さのもの、人の体を移動させる際、重心をどこに置くか、手の筋肉だけでなく背中の筋肉も活用して介助をする方法なども学習しました。
これは、介護などでも取り入れられている方法で小さな人でも自分より体が大きい人の介助をすることできます。参加者の皆さんと体験してみました。
手のひらを返して(甲を上にして)寝ている人の首の下に手を入れます。 自分の体重を利用して寝ている人を起こすことができます。 |
頭では分かったけど上手にできません。 無理をすると腰を痛めるので、気をつけましょう!! |
介助される方の手をおなかの前で組んでもらって、 わきの下から手を入れて立ち上がる感じ。酔っ払った旦那さんで練習しよう! |
参加された皆さんから感想や質問もいただきました。 |
地球上で生活することは、自然災害とも一緒に生活することです。極端かもしれませんが、起こって欲しくない災害も生活の一部。私たちは普段の生活の中で、万が一災害が起こったときにも自分や大切な子ども達の安全を守れるよう準備しておくことが重要だと感じさせられました!