2011年11月27日

シリーズ社会科見学14 歴史を活かしたまちづくり/九州豊後路の小京都-大分県杵築市

我が国のまちには、城や神社、仏閣など歴史上価値の高い建造物が、またその周辺には町家や武家屋敷などの歴史的な建造物が残されていて、そこで工芸品の製造・販売や祭礼行事など、歴史と伝統を反映した人々の生活が営まれることにより、それぞれ地域の風情、情緒、たたずまいが醸し出されています。

館山と同様に、海を見下ろす絶好の位置に城跡があり、昭和になって天守閣型の資料館が建てられた、大分県杵築(きつき)市の杵築城を社会科見学しましたので紹介しましょう。

仏の里国東半島の南の玄関口に位置する九州豊後路の小京都杵築は、カブトガニが生息する美しい守江湾を望む風光明媚な坂道の城下町です。


杵築城跡から望む守江湾

杵築城は、大友氏一族の木付頼直が応永元(1394)年に築城。
江戸時代、正保2(1645) 年に松平氏が入城して十代を守り、明治4(1871)年の廃藩置県を迎えました。

現在は本丸、二の丸、三の丸の石垣や濠の一部が残り、昭和45(1970)年に建てられた天守閣型の資料館が山頂部にあります。


杵築城


館山と大きく違うことが、杵築は江戸時代に、松平三万二千石の城下町として栄えたこと。
今でも多くの武家屋敷や土塀、石畳の坂道が残されています。


正面に小さく見えるのが杵築城跡


南北の高台に武士が住み、その谷間で商人が暮らしたまち並みは当時の身分制度を表した特徴的なものであり、このような凹凸のある「サンドイッチ型城下町」は日本唯一と言われています。


谷間にあるのが商人が暮らしたまち並み

近年、建物の老朽化や住民の高齢化により空家、空地が増え、また地区の景観に調和しない建物への建て替えが増え、城下町の景観が失われつつあるそうです。

そのため行われていることが、まち並みの保存や、歴史を活かしたまちづくりを支援し、歴史的建造物の保存活用や、城下町にふさわしいまち並み景観を再生し、親しみと愛着の持てる魅力あるまち並み形成を図っていくという取り組みです。

城下町杵築の中核的施設として平成元年から一般公開され、年間の見学者数は約46,000名を数えているのが、大原邸です。


大原邸

中島をもつ池は大きく、杵築の武家屋敷では最も整った庭園を有することから、当家が普通の武家屋敷でなかったことを物語っているとされています。


大原邸庭園

このような歴史的環境を維持し向上させて、後世に継承するためのまちづくりが、今、全国各地で行われています。

私たちのふるさと館山には、館山城跡はありますが、城下町のまち並みは失われています。
しかし、歴史的建造物は点在し残っています。

それらを活かして、歴史文化を通じたまちづくりができないものかと考えさせられました。


◆ シリーズ社会科見学

シリーズ社会科見学13   國學院大學伝統文化リサーチセンター資料館/つとるば遺跡出土品(11/20)
シリーズ社会科見学12 海上自衛隊館山航空基地開隊58周年記念 ヘリコプターフェスティバル in Tateyama(10/11)
シリーズ社会科見学11 福岡市博物館 特別企画展「日本とクジラ」その2 (10/10)
シリーズ社会科見学10 福岡市博物館 特別企画展「日本とクジラ」その1 (10/5)
シリーズ社会科見学9 青木繁生誕の地-福岡県久留米市 その4「坂本繁二郎生家」 (9/30)
シリーズ社会科見学8 青木繁生誕の地-福岡県久留米市 その3「石橋文化センター」 (9/29)
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シリーズ社会科見学6 青木繁生誕の地-福岡県久留米市 その1「久留米城跡と青木繁記念碑」(9/26)